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2008年3月21日 (金)

『神なるオオカミ』を読んで   姜戎(ジャンロン)著

中国内モンゴル、オロン草原に来た中華人青年が、

羊飼いとなって数年間暮らしてゆく物語。

そこには青空に浮かびゆっくりと流れる綿菓子のような白い雲、

緑々とした草原の大地モンゴルの憧れのイメージとは裏腹に、

大変厳しい自然との共存生活を詳細に教えてくれる。

数日間の観光ならどうとでもなるが、数年間もそこに住み続けることは

おそらく自分には無理であろうと思われる。

モンゴルはいいな!なんて言う軽い考えを捨て去るしかないほど、

辛らつに生活がつづられゆく。

この物語で主となるものはオオカミと人間。

モンゴル遊牧民の思想=オオカミを神と恐れ、敬う。

時には生きるか死ぬかの戦いをし、人は死してその身をオオカミに捧げる。

草原のあるべき姿はオオカミを頂点として育まれてきたバランスのとれた世界。

自然界の法則に人間が介入することで

草原の姿が崩れ去ることを教えてくれる。

天から与えられた世界、天から与えられた命の数々は、

それぞれがどこかでつながっているバランスの輪の中にいる。

人間のエゴ(目先の利益や欲)によって草原を追われたオオカミ。

オオカミが去って豊かな草原が砂漠化してゆく事実。

物語の主人公の中華人青年が実験と称して子オオカミを飼うことに・・・。

その昔、犬とは違う道を選んだプライド高きオオカミが、

はたして人と共存出来るのか・・・。

最後までプライドを捨てないオオカミのすさまじさ・・・

残酷な中にも生き物の尊厳のすごさを感じる。

世界各国でオオカミが神格化されていることの謎がわかった気がした。

僕はこの長編をなぜ読もうとしたのか。

オオカミ=犬の祖先。

外観そして骨格・歯についても酷似しているのに、

なぜおおかみは人を選ばず、自然界に生きるプライドを選んだのか・・・

そして、絶滅してゆくことになったのか・・・

すごく興味がわいたのだ。

そして犬のことを少しでも理解することが出来るのでは・・・

と考えた。

我が家の犬、あずきの狼性は巣づくりをするように

寝床を足で作る行動をすることがある。

Bonoにも狼性が時々顔を出す。

犬種の違いにもよるのだろうが、

目的物に対するアプローチの仕方など、狼性を感じる。

数万年前にはすでに違う道を歩み始めたオオカミと犬。

時々顔を出す狼性な一面に、少し嬉しさと尊厳を感じる今日この頃。

これを機に、犬の起源や生態について知識を深めてみようと思う。

素晴らしい本に出会えた。

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